譲渡税は遺産分割次第

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遺産分割次第でかわる土地の譲渡税の非課税枠適用



譲渡税は遺産分割次第
相続財産の売却〜相続&譲渡

土地の所有者が「相続税」の対処をするときに…『相続』した土地の売却時に適用される『相続税の取得費加算』は、とても心強い特例です。この特例は、〈「相続税」の申告期限から3年内に相続財産である土地を売却した場合、その土地に払った相続税額を譲渡益から差し引くことができる〉…というモノです。

「譲渡税」からすると、《非課税枠》と言えるでしょう。この特例の『取得費』として、譲渡益から差し引くことができる金額(譲渡税の非課税枠)は…相続税額×(相続した土地の評価額÷相続税の課税価格)…という計算式で求めます。

取得費は非課税〜譲渡課税なし!

算出された『取得費』は、『相続』した財産全体のうち、土地の分について払った相続税額に相応します。相続税額のうち、土地の評価額が「相続税」の課税価格(課税対象)全体に占める割合を計算するのです。

土地の『取得費』は、その土地を手に入れるために必要とした《経費》ですから、《利益》から控除できます。そこで、《非課税枠》になる‥というワケです。

相続財産が3億円の土地のみで、「相続税」が1億円である場合の《非課税枠》は…1億円×(3億円÷3億円)=1億円となります。つまり、相続した土地を「相続税」と同額の1億円で売却するならば、「譲渡税」はかからないのです。(わ〜い!)

相続税は同じでも…借入金登場

「譲渡税」を軽減してくれる有り難い特例ですが、上記の『取得費』を求める計算式は、ワリと単純♪…でも、油断は禁物です。この計算式内の《相続税の課税価格》とは、『債務控除』をする前の価格のコトなのです。

相続財産が土地3億円・預金3億円、引き継いだ「借入金」が3億円(▲)、「相続税」が1億円であるケースの計算をしてみましょう。「相続土地」3億円・「相続税」1億円…ここまでは、先の例と同じですね。

しかし、このケースには「借入金」がありますから…『債務控除』をする前の《相続税の課税価格》は、6億円になります。(分母が倍!)

借入金で取得費減額〜譲渡課税発生!

このケースで、売却した土地の『取得費』を計算すると、1億円×(3億円÷6億円)=5,000万円。先の例と相続税額は同じでも、《非課税枠》は、半分の5,000万円です。

つまり、このケースでは…『相続』した土地を、先の例と同じ1億円(=5,000万円超)で売却すると、「譲渡税」がかかるのです!

さらに、土地3億円・預金30億円・「借入金▲30億円」・「相続税」1億円となると…《非課税枠》は、1億円×(3億円÷33億円)=909万円です。(激減じゃん!)

売却予定土地の相続〜借入金は誰に?

上記の「借入金」があるケースでは、「土地」3億円を除く相続財産の金額が《プラスマイナスゼロ》です。したがって、「相続税」の計算上…複数の「相続人」のうち、誰が《プラスマイナスゼロ》を『相続』しても、相続税額に影響はなく問題ナシです。

しかし、『相続土地』を売却する場合は問題アリです。各「相続人」の相続税額は変わらなくても、《プラスマイナスゼロ》…つまり《土地以外の財産》…が多いほど、計算式の分母に反比例して、「譲渡税」の《非課税枠》が減少します。

『相続』をした後に土地を売却する予定がある場合は、〈誰が《土地以外の財産》を『相続』するか〉…が、運命の別れ道(?)なのです。

先の先まで考える〜遺産分割協議

『相続土地』売却の《非課税枠》は、「相続人」全員が一丸となって…〈相続財産全体にかかる「相続税」の総額を計算するとき、一緒に計算しちゃえ〜〉‥というワケにはいきません。「譲渡税」の《非課税枠》は、各「相続人」の相続税額が確定した後で発生するモノですから、「相続人」ごとに計算します。

「遺産分割協議」では、「相続税」のことしか念頭にナイかもしれません。しかし、協議の結果…「相続人」ごとの「相続税」に異変(?)がなくても、『相続土地』を売却した際の「譲渡税」に大差が生じる場合があります。

日の目を見ない非課税枠〜配偶者控除

『相続』後に『相続土地』を売却する予定があり、配偶者が「相続人」である場合の「遺産分割協議」は、要注意です。

「配偶者」には『配偶者控除』があるため、フツーは相続税額がゼロになります。そして、相続税額がゼロならば、《非課税枠》の出番はありません。

しかし、《配偶者以外の相続人》が「土地」を『相続』すれば…「相続税」がかかりますから、最初の計算式よって《非課税枠》が誕生するのです。「配偶者」が「土地」を『相続』したがゆえに、後の土地売却時にかかる「譲渡税」の《非課税枠》を、パ〜にしてしまうワケです。(勿体な〜い!)

物納したら…非課税枠はナシ?

税金は現金で納めるのが原則ですが、「相続税」は、要件を満たす場合に相続財産で「物納」することができます。ところが、「物納(申請中を含む)」する『相続土地』は…『相続税の取得費加算』の計算式に登場する《相続した土地》には、該当しないのです。

…〈エッ?「物納」した土地は『取得費』が認められないの?!エ〜ン‥〉…泣きながら、計算してみましょう。相続財産が土地3億円・「相続税」1億円で、「相続税」1億円を全額土地で「物納」した場合です。

取得費加算は…物納済もアリ!

上記の例を『相続税の取得費加算』の計算式に当てはめると…《相続した土地の評価額》は、「物納」する土地(1億円)が対象外であるため、2億円になります。そして、『取得費』を計算すると、1億円×(2億円÷3億円)=6,666万円です。

…「相続税」1億円分の土地を丸ごと「物納」しても、6,666万円の《非課税枠》は健在(?)なのです。(泣き止んだ?)

『相続税の取得費加算』の特例の趣旨は、〈「相続税」を払うための土地売却は譲渡課税を軽減してあげよう〉‥というコトです。したがって、〈『相続土地』を一部でも「物納」したら、他の土地の『取得費』もナシ!〉‥といった制約は無いワケです。(ホッ♪)

特例の目的は…相続税の納税

仮に、この《非課税枠》の特例が無かったら…「相続税」を納めるために、泣く泣く(?)土地を売却したとしても、フツーに「譲渡税」がかかります。「相続税」と「譲渡税」の、ダブルパンチですね。(キッツ〜い!)そして、〈「譲渡税」払わなくてイイから、「物納」しちゃえ〜〉‥となると、税金を徴収する側が困ります。(現金一番!)

そこで、相続した土地に払った税金分(相続税)を『取得費』とすることで、「譲渡税」を軽減しているのです。「相続税」を「物納」した後で別の『相続土地』を売却した場合は、相続税額のうち、その《売却した土地》に払った分が『取得費』となります。

相続後の土地売却は…チャンス!!

この特例の対象は『相続土地』のみです。『相続』と無関係にいくら土地を売りまくっても、《非課税枠》は生じません。

さて、土地を所有している《地主さん》、《土地売却のタイミング》とは、案外難しいモノではありませんか?温存し続ければ妬まれるし、売れば〈浪費の報いだ〜〉‥など、周囲の人々から言われ放題だったりして…。

しかし、『相続』した後で売却した場合に限り…〈「相続税」がキツイのね〉‥など、概ね好意的な解釈をされるでしょう。時には、同情されるかも。まさに《チャンス》。

そして、お忘れなく。譲渡税額は、「遺産分割協議」の内容次第ですよ!

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